公開: 2024年2月5日
更新: 2024年2月5日
現代日本の教育制度では、明治時代に東京大学が設立されて以降、大学に入学した後、教育を受けているにも拘わらず、途中で大学を退学する学生の比率は極めて低かったとされています。1945年以降、新制大学に変わってからも、中途退学者の比率は、無視できる程度であったとされています。
しかし、1990年の大学入学者で約2,500人であった中途退学者の総数は、2005年の大学入学者で約5,000人まで増加しました。九州大学の姉川恭子氏の分析によれば、この中途退学者の増加には、この間「家計への経済負担が増加した」こと、「学生のニーズと大学が提供する教育内容のミスマッチが大きい」ことなどが指摘されています。」また、絶対数の大幅な増加の原因としては、1991年に文部省が大学設置基準を大幅に緩和したため、入学者数が大きく増加したことも影響したとされています。
読売新聞による「大学の実力」調査(2010年)では、大学の退学率は、約10パーセントに達しており、OECDの調査においての平均値が約30パーセントであるのに比較すれば、相対的に低い水準にあるといえます。
姉川恭子著、「大学の学習・生活環境と退学率の要因分析」、九州大学大学情報リポジトリ(2014)